薬膳の基本!陰陽五行学説って何?|私ごはん。相談室

中国4000年の陰陽五行学説は中医薬膳の基本理論

陰陽五行学説は2つの概念が組み合わさったもの


五行の図 陰陽太極図




陰陽五行学説ってご存じですか?

中国4000年の陰陽五行学説は薬膳の基本理論です。 実はこの陰陽五行学説は2つの概念があわさったものです。

  • 陰陽学説で自然の万物の《性質と変化》を分類。
  • 五行学説では物質の要素を5つに分類。物事の発展や変化やバランスの取り方を考えます。

陰陽学説と五行学説の 2つあわせた 陰陽五行学説は中医の理論でもあり中医薬膳でも基礎理論です。

中医薬膳は、中医学の陰陽五行学説に基づいた五臓六腑のバランスを食薬で整える料理

中医薬膳は、中医学の陰陽五行学説に基づいた五臓六腑のバランスを食薬で整える料理です。

また陰陽五行学説は難しそうですが、 陰陽五行学説は日本の懐石料理などの基本的な理論でもあります。 四季を感じる二十四節気は特に和食などでお馴染みですが、 二十四節気はこの陰陽五行学説そのものです。

陰陽学説とは・・・二十四節気などの暦の概念概念

【陰陽学説】

自然界の太陽や月などの観測をして昔の方は四季を知り、月日を知り、時間の目安にしておりました。 こうしてできたのが暦であり二十四節気です。寒くなったり暖かくなったり。朝になったり、夜になったり。 自然界には陰陽という概念が出来ました。

  • 陽 天 太陽・熱・上昇・浮 春夏 男 明 甘辛
  • 陰 地  月 寒 下降 沈 秋冬 女 暗 酸苦 鹹
などなど・・。

太陰暦に基づいた二十四節気太極図です。1年を24に分けています。

太陰暦に基づいた二十四節気太極図です。1年を24に分けています。 この陰陽学説の24節気の太極図は陰陽学説の理論のすべてが詰まっている大切な図です。





中医学では人間も自然のうちのひとつという整体観念より中医薬膳学では食べ物も陰陽学説に当てはめて考えます。

例えば《陽》は甘味・辛味、《陰》は酸味・苦味というように。 (ちなみに人間の五臓は陰で、六腑は陽です。) 陰陽学説は中医学では不調の状態を陰陽に分けて考えます。食べ物の陰陽と体調の陰陽を組み合わせた食事療法が中医薬膳です。

陰陽学説は反対のもののバランスの理論

陰陽学説は反対のもののバランスの理論です。 健康的な状態では陰陽のバランスがとれている【陰平陽秘】ですが、 太極図のように、陰が盛んな時(陰盛)なら陽が少なく(陽衰)なっています。逆に陽が盛ん(陽盛)なら陰虚に。

黄帝内径では“【陰陽の虚実盛衰】を見極め、それに合わせて薬食を食べて陰陽のバランスを整える”が原則。 陰陽のバランスの考え方は中医薬膳ではとても大切です。

【五行学説】五行学説は自然界のすべてを五つに 分類して考える学説です。

五行の行には、 「めぐり回る」という意味があります。 つまり5つの要素はめぐりながら相互に影響しあうということです。 (詳しくは・・・5つの要素の相互の影響により五行学説では 「相生」「相剋そうこく」という2つのめぐり方があると考えています。)

2つのめぐり方は以下のように全く異なるめぐり方をします。

  • 相生(そうせい)・・・一方が他方を助けて生みだす。
  • 相剋(そうこく)・・・・一方が他方を打ち負かす
という関係です。

五行学説は 5つの要素の動きと変化により、自然界と身体のすべてのことを表すのです。

五行学説を 代表する5つの要素は木火土金水。

中医学ではこの木火土金水がベースにしていきます。 (五行学説のパーツも陰陽に分類することもあります。)





これらを象徴と考え、似ている性質を当てはめていきます。

食べ物の性質も・臓腑も5つに分類

臓腑を五臓六腑に。食材と生薬なども五行学説により分類して考えます。

  • 食べ物の性質も熱性・温性・平性・涼性・寒性の5つに分類。
  • 味わいも酸苦甘辛鹹に分類。
  • 鹹はカンと読み塩味のことです。

    食材や生薬など中薬ではこれらの性質を四気五味シキゴミと呼び基本情報とします。 (平性や淡味を合わせ五気六味ということも。) このように 五行学説により自然と人間のすべてを説明していきます。

  • 中医の季節は春・夏・梅雨(長夏)・秋・冬。 の5つに。《五季》
  • 食べ物では色味も大切。

色味は《五色》、青赤黄白黒の5つ。 これらの五行学説では特に五味と五臓の関連性により 味が臓腑の働きに影響すると考えています。

2つ合わせた 【陰陽五行学説】 これら2つの学説、陰陽学説と五行学説を2つ合わせて陰陽五行学説と呼びます。

お気づきになりましたか?

陰陽学説と五行学説を合わせると日月火水木金土 の一週間になることを。

茶懐石が中国から入り24節気が馴染んでいる日本ではすでに中医学への下地があるんです。

中医学の整体観念はの基本理論である陰陽五行学説は食事、食材と自然・人間が密接に関係していることを示しています。

中医薬膳学とは 体の陰陽五行の状態と食べ物の陰陽五行を組み合わせてよりニュートラル(中立)を目指す考え方

中医薬膳学では体の陰陽五行の状態と食べ物の陰陽五行を組み合わせてよりニュートラル(中立)を目指す考え方です。

あなたの体は、おかれた環境だけでなく、五行学説による 五臓と五味のほか、自然に基づく、二十四節気の陰陽学説とも関連しています。

だから 二十四節気の陰陽学説にあわせて、旬に合わせた食物をとることも大切です。 簡単なようですが、 季節を無視しないで、季節感を大切にして、季節に順応した自然界の陰陽にあわせた生活をすることが、 あなた自身の体の 陰陽バランスが整い、毎日が快適だと感じるようになるんです。

つまり 旬の食べ物をとることが薬膳では大切にしているんですね。

あなたも陰陽五行学説に基づいて食べ物を見直してみませんか?

つまり!中医薬膳に欠かせないのが陽五行学説

中医薬膳では、食べ物で体調を整えていきます。

中医学で方剤(漢方薬)を使うように、食べ物の力によって、臓腑気血を調え、 体の陰陽バランスを整えていくのが、薬膳です。

これはまた食薬の五味を通して五臓が機能していくことを意味しています。

《素問》では、【五味が口から入り、五臓が滋養されて五臓の気を補い、バランスのとれた生活ができる】と記載があります。

この五臓と五味の関係は・・・・

  • 酸味は 肝 に入る
  • 苦味は 心 に入る
  • 甘味は 脾 に入る
  • 辛味は 肺 に入る
  • 鹹味(かんみ)味は 腎   に入る

つまりこれらの5つの味が五臓の機能に作用するという理論で薬膳をしていくのです。

注意したいのは、

  • 五味を使いすぎること
  • 自分の体質にあわないものを使ってしまうこと
(だから自分の体質をしることが薬膳のスタートなんですね。)

これらをしてしまうと、逆に自分の臓腑陰陽のバランスが崩れてしまうのです。 この臓腑陰陽の崩れたバランスが、《不調の原因》です。だからこそ、自分の体質を知り、それに合わせた自分に適した 食べ物をとることが大切です。

【陰陽学説の奥深さ】もっと詳しく知りたい方へ(国際中医薬膳師レベル)

世の中のすべての物は、陰陽どちらかに属します。

陰陽学説は単にものごとを2つにわけていくだけのものではありません。 かなり奥深い理論が実はあるんです。

五行の図

この図は陰陽学説の関係図

陰陽は相対的なもの

実は、 陰陽の属性は一度決まったら変更されない絶対的なものではないのです。

陰陽は相対的なものです。

絶えず変動しているものなんです。制約条件の中で質や量も絶えず変化します。

制約条件により、 陰は陽に転化します。(陰が陽に転化したり、陽が陰に転化したりします)

また陰陽は無限に分類できます。 陰の中に陽が存在したり、陽の中に陰が存在したり・・・・。 (小さな丸が中にあるのがそれを表現しています)

また陰と陽は表裏一体を表しています。

それを表現しているのが、この図になります。 街中でファッションとして着用されているのを見たことないですか?実はこれ、そんな深い意味があったんですね!!最初学んだときびっくりしました。

陰陽太極図
●陰陽太極図●

24節気の太極図は陰陽学説の理論のすべて

この陰陽学説の24節気の太極図は陰陽学説の理論のすべてが詰まっている大切な図です。

この図からわかることは

正反対の陰と陽が互いに影響する、 陰だけでもダメ。陽だけでもダメ。陰と陽が両方存在して、そのバランスが大切なことを表しています。 体の陰陽もこの図のように絶えず変化しています。

だから

  • いつも同じものを食べるとか、
  • すべての人が同じものをた食べるというのは
中医では間違いです。

つまりテレビなどで言われるような不特定多数の方に同じ食べ物ではセルフケアの実現は難しいということです。

本当の薬膳とは自然界の陰陽(季節)だけでなく、体の陰陽五行にも 合わせていくことが大切。

本当の薬膳とは自然界の陰陽(季節)だけでなく、体の陰陽五行にも 合わせていくことが大切ということです。

まずは中医理論に基づいた食べ物の陰陽を知り、あなた自身の現在の体質・状況の陰陽に合わせていくことが中医薬膳になります。

  • この見立てを中医では《弁証》といい、プロにお任せいただきたいところですね。













    では【五行学説】を詳しくみていきましょう。

    五行学説は五行の表にまとめられています。五行と人体の関係を表す五行色体表

     中医学では、診断や治療などの理論的な理論として五行の相対関係と陰陽学説を組み合わせてしていきます。

    五行は食材や環境など自然界のあらゆるもの、人体の生理や感情など で分類し、まとめてあるのが「五行色体表」です。

    基本となる 「木・火・土・金・水」の特性

    まず、基本となるのが、 「木・火・土・金・水」。  中医学において、自然界のさまざまな物質や人体のはたらき、 「木(もく)・火(か)・土(ど)・金(ごん)・水(すい)」の五つに 分類したものを「五行学説」といいます。

  • 「木」樹木が成長することで伸展・上昇などの意味を表す
  • 「火」火が燃えることで、温熱上昇などの意味を表す
  • 「土」 播種(はしゅ)・収穫など農作物と関連して万物を生かす
  • 「金」変革を表し、清潔・下ろす・収れんの意味をもつ
  • 「水」水のように下ろしたり、うるおしたりといった意味を表す
  • 五つのパーツは、

  • 「相生(そうせい)」互いに五行の一つが相手に対して促進・助長・養成などの作用をする関係
  • 「相克(そうこく)」 五行の一つが相手の成長と機能に対して抑制・制約などの作用をする関係
  • があります。
  • 五行色体表表@@@・・・・

    五行にまとめた体の部位

     五行色体表では、「五行と関連する身体の部位」が細かく分類まとめられています。基本が「五臓」です。

  • 「五腑(ごふ)」 五臓に対応する腑である、
  • 「五官(ごかん)」 五臓が支配する感覚器
  • 「五主(ごしゅ)」五臓が司る器官
  • そして自然界と人間の関係性もまとめられています

    五行にまとめた自然界

    五臓に変調を招く原因として

  • 「五季(ごき)」 五臓が属する季節
  • 「五悪(ごあく)」五臓が嫌う外気
  • 「五労(ごろう)」 五臓を病みやすくする動作
  • 「五色(ごしょく)」五臓が変調した際の皮膚の色
  • 「五志(ごし)」 感情
  • 「五味(ごみ)」変調時に好む味
  • 「五果(ごか)」五臓を養う果実
  • 「五畜(ごちく)」五臓を養う肉類
  • 五臓、肝・心・脾・肺・腎

    中医学の「五臓」とは、「肝(かん)」「心(しん)」「脾(ひ)」「肺(はい)」「腎(じん)」の五つ。これを五臓といいます。 これらは西洋医学の内臓と名称が似ていますが、すべて同じではありません。 その考え方や機能は異なる部分があります。

    五季って何? 五臓には、それぞれが属する「五季」があり、季節とも深い関わりが。

    この表の活用の仕方例えば、五行色体表で五行の「木」だと・・・

    例えば、五行色体表で五行の「木」に属するのは、五臓は「肝」、五腑は「胆」、五官は「目」、五主は「筋」、五季は「春」です。

    つまり、春には「肝」の働きが悪くなりやすく、胆や目の不調、筋の不調が起きやすくなります。

    また、五悪が「風」、五労が「行(歩きすぎる)」なので、春にはできるだけ風に当たることを避け、 歩きすぎないほうがいいと考えられます。

    また五味が「酸」。なので、春には酸味の食材をほどほどにとることが、肝の働きを助けると考えます。

    このように

    このように、五行の属するグループには何らかの関連性があると考え、 五臓の不調やとるべき食材をみつけるのに役立ちます。

    こうして季節ごとの変調や食材を推察していくのが薬膳の考え方。

     中医学の「五臓五腑」は、西洋医学の内臓とほぼ同じですが、その考え方や機能は異なる部分がたくさんあり、イコールではありません。 またからだを構成する「気(き)・血(けつ)・水(すい)」が五臓にバランスよくすみずみまで行きわたり、 からだがバランスがとれることによって、健康だと考えます。

    中医の五臓は心臓や肝臓などの内臓器官がもつ本来の機能のほか、関連する部位やメンタル面にまで影響を及ぼすもの

    「肝(かん)」「心(しん)」「脾(ひ)」「肺(はい)」「腎(じん)」の五つからなる「五臓」 の働きは、心臓や肝臓などの内臓器官がもつ本来の機能のほか、関連する部位やメンタル面にまで影響を及ぼすといわれています。

  • 「肝」全身の気や血の流れを調整。また、血を貯蔵し全身の血量を調整しています。
  • 「心」五臓五腑を統括し、全身に血をめぐらせ、思考や意識など精神活動を制御します。
  • 「脾」消化と吸収を行い、後天の精(※飲食物を脾胃で消化吸収し得られる栄養のこと) を取り込み、気・血・水のもとを全身に送ります。
  • 「肺」呼吸によって自然界の清気を取り込み、体内の水分を全身に行きわたらせます。
  • 「腎」精を蔵し元気をもたらすほか、全身の水分代謝を調節し、呼吸にも関与
  • 五臓と五季季節薬膳の基本

    五臓には、それぞれが属する「五季」があり、季節とも深い関わりがあります。

    五臓には、それぞれが属する「五季」。これは五臓が季節に影響を受けることを表しています。
  • 春は「肝」
  • 夏は「心」
  • 長夏(ちょうか)(日本では梅雨時にあたる)は「脾」
  • 秋は「肺」
  • 冬は「腎」
  • 対応する季節に五臓の働きは弱りがちできちんと補いケアすることが大切な季節となるのです。

    現代では忘れがちですが、このように人間の体は季節とも深い関わりがあります。

    五行の表はこんな風に薬膳に役立てる

    例えば、「腎」

    例えば、冬には「腎」の働きが悪くなりやすい。冷えや血流障害、泌尿器系のトラブルが起こりやすくなります。 体質的に冷えやすい人の場合、冬には腎の働きが悪くなるため、 より強い冷えのトラブルが起こりやすくなります。

    こういうときには、 腎と同じ五行にある食材の【羊肉やうなぎな】どを積極的にとることで、 腎の働きを補い、不調を未然に防ぐことができると 考えます。

    このように、体質と季節とのバランスを考えた食材を選ぶことで食養生ができ、体調を整えることができるのが薬膳という方法です。

    「肝・心・脾・肺・腎」の五臓と不調
    季節でわかる不調となる臓器

    最後に五臓と不調の関係をまとめておきます。

     

  • 春に不調がおきやすい。肝が弱まると、気のめぐりが悪くなる。 月経異常やイライラ、自律神経失調症などを招く。代謝や解毒作用が弱まり、筋がこわばり運動神経なども衰えやすくなる。目や爪のトラブルも。
  • 夏に働きが悪くなりやすい。心が弱まると、動悸や不整脈、不眠などの症状を招き、 血と気のめぐり、精神が不安定になる。顔色や舌先が赤くなって、からだに熱をもちやすくなる。
  • 梅雨時に働きが悪くなる。脾は水分代謝にも関係があり、働きが悪くなるとむくみや下痢などの症状が表れることも。 胃腸病や湿疹など皮膚の炎症が起こりやすくなる。
  • 秋に働きが悪くなる。肺が弱まると、呼吸器系や皮膚疾患のほか、免疫力がおち花粉症などのアレルギー症状を招く。 水分代謝の低下、皮膚のバリアー機能が衰え、皮膚の乾燥トラブルが起こりやすい。
  • 冬に働きが悪くなる。腎が弱まると足腰が弱まり、 白髪、記憶力の低下などいわゆる老化現象が早まる。 成長や発育、骨の生育・ホルモン分泌が衰えやすくなる。冷えや血流障害、泌尿器系のトラブルも起こりやすい。
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